てぃーだブログ › 波之上の妖怪・ミニスカばあちゃん

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Posted by TI-DA at
2010年11月24日

波之上の妖怪・ミニスカばあちゃん はじめに

波之上に生息する希少生物、ミニスカばあちゃん。
究極の勘違い人間、恥さらしといわれながらも、しぶとく生きています。
ミニスカに隠された驚くべき真実、そして、ミニスカばあちゃんの思いがけない生きる目的とは?
衝撃の真相が次々と明らかになっていきます。

※この物語はフィクションであり、実在の人物、地名その他、一切関係ありません。
※酷似している人物がいるかもしれませんが、あくまでも偶然ですので、ご了承ください。

物語は書いた順番に表示されます。
新しいものは、最後尾にあります。

感想、ご意見など、コメントいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。  

2010年11月24日

1 妖怪ミニスカばあちゃん

あたしのおばあちゃんは、

『ミニスカ・ばあちゃん』

とか、主な出没場所から、

『波之上の妖怪』

とか呼ばれています。



なぜそんなふうに呼ばれているかというと、まさにその言葉から連想される通りの外観をしているからです。

といっても、とことん不細工というわけではありません。

それどころか、後ろ姿は、一流モデルにも負けないくらいのスタイル良し。
昔の人としてはかなり大柄で身長162センチ、体重40キロ。
なんといっても、真っ赤なスカートの下からすらりとのびた美しい白い足が自慢です。
それに、サクランボのように引き締まったかわいらしいお尻。
えぐい角度にクイッとくびれたセクシーな腰。
お気に入りの牛革のブーツとの組み合わせは、100点満点中の92点はあげたいところです。

しかし、問題なのは正面からまともに見たとき。

私はおばあちゃんと連れ立ってよく那覇や北谷の繁華街へ出かけますが、歩きだすと、必ず15分に一回、お尻がはみ出そうなおばあちゃんのミニスカ姿に魅せられた男たちが、後ろから声をかけてきます。そして、正面に回っておばあちゃんの顔を見ると、

「げっ、オバケ……」

とか言ってあわてて逃げていくのです。
すると、おばあちゃんはこの瞬間を待っていたように(実際、待っていたのですが)、男の手をつかみ、頬をすりつけんばかりにぐいっと引き寄せ、まるで歌舞伎の役者か何かのように、こう見得をきるのです。

「何がオバケだよ。
あたしの後から、犬みたいに尻尾を振ってコロコロ追いかけてきたのは誰だい?」
「はなせ、くそババア」
「お聞きなさい!
確かに、あたしは今年64になるババアさ。
だけど、それがどうしたっていうの?
80になろうが、100になろうが、あたしはミニスカートをはき続ける。
この布きれはただのミニスカートなんかじゃないんだ。
あたしは女、そして死ぬまで女でありつづけよう、あたしを愛してくれる本物の男があらわれるまで待ち続けようっていう決意のメッセージなのさ!
このメッセージ、あんたにも届いただろう?」
「と、届くもんか」
「そう。じゃ、これなら届くかしら!」
おばあちゃんはそういって、微笑みながら牛革のブーツを脱ぐと、

「必殺ミニスカ蹴り! アギジャビヨー」

といいながら、男の左側頭部に向かって強烈な回し蹴りを食らわすのです。
ちなみにアギジャビヨーというのは、沖縄の方言で、「たいへん」とか、「なんてこった」とかいう意味です。

この回し蹴りがまたなんというか、おばあちゃんに対して反発心をもっている私でさえあきれるくらい、超セクシーなのです。
なにしろ、すらりとのびた裸の足が、まるでムチのようにしなりながら、美しい放物線を描いて側頭部に吸い込まれるようにして命中するのです。もちろん、そのあいだ、ミニスカまくれて下着まる見え。
さらにその蹴りは、カミソリのような鋭さを持ちながら、当たるときはなぜかマシュマロのような柔らかさで、痛いというよりはひたすらに心地よい(らしい)。
オバケだの妖怪だのと毒づいていた男たちは、この一撃で昇天しながらも、なぜか決まっておばあちゃんの熱烈なファンとなってしまうのです。

まあ、ミニスカばあちゃん、とりあえず、こんな感じです。
  

2010年11月25日

2 ミニスカばあちゃんの災難

那覇から北谷(ちゃたん)まで遠出するときは、いつもシルバーパスを使ってバスを利用しているミニスカばあちゃん。
「こういうときだけ、老人になるのはズルイよね」
私がいうと、
「なに言ってるの。あたしがまだ年齢に追いついていないだけよ」
と意味不明なことを返します。
ところが、ある日とつぜん何を思ったのか、

「やっぱりバスはやめ。みんなにミニスカ姿を見てもらえないもの」

ということで、自転車を使うと言い出しました。



「おばあちゃん、自転車、危ないよ。北谷まで何時間かかると思っているの? それにこいでるときって下着とか見えてとっても下品だよ。バスでいいじゃない」
私が言うと、
「あたしは1分1秒、無駄にしたくないの。あなたと違って、残された時間、限られてんだからさ。こんな恰好で、必死になって自転車こいでればいろんな人が見てくれる。もしかしたら、私を探している本物の男が見ないとも限らないじゃないか。いいから、どんな乗り方がいいか、一緒に研究して」

というわけで、私が中学時代乗っていた古い自転車を物置から引っ張り出してきたおばあちゃん。練習をはじめたのはいいけれど、ミニスカ姿ではさすがに乗りづらそう。それに、何十年ぶりかの自転車なものだから、おっかなびっくりで、人間が乗っているというよりは、どこかの動物園のお猿さんが乗っているかのようです。

「おばあちゃんだったら、このままの格好でサーカスに出られるわね」
私はつい本音を口走ってしまいました。
すると、
「あら、そう?そんなにセクシー?サーカスってシルク・ド・ソレイユ?ジャパニーのミニスカ自転車乗りみたいな。そりゃいいかも」
「冗談だってば!」
おばあちゃんだったら本気でシルク・ド・ソレイユに売り込みをかけないので、私はあわてて否定しました。

いろいろ試してみた結果、牛革ブーツにミニスカ姿では立ち乗りが一番合理的でセクシーなことがわかりました。
おばあちゃんは昔の人の割には身長があるので、立ち乗りだとけっこう見栄えがします。
「よっし、みんな待っててよ。いま行くわよ」
と、おばあちゃんは意気揚々と自転車をこいで北谷の街へ向かいました。
私はほおっておくつもりでしたが、ちょっと心配になってバイクで後をつけました。
案の定、10分ほど走った泊交差点のあたりで、霊柩車に出くわしてびっくりしたのか、それとも無理な姿勢がたたって背筋でもつったのか、自転車ごとひっくり返ってしまったのです。
案山子のようにまっすぐに伸びきった体で、救急車に運ばれるミニスカばあちゃん。

「痛たたっ。こら、降ろしなさいったら。あたしゃ生きているよ。霊柩車はまだ早いってば」

動けなくなった体で、何を勘違いしたのか理不尽にも救急隊員を怒鳴り散らします。
私は他人のふりをして、おばあちゃんを取り巻く人垣の後ろのほうからこっそり見てました。

「ごめんね、おばあちゃん」

でも、救急車は呼んであげたのは私よ。
  

2010年11月26日

3 ミニスカばあちゃんのバイト

私の家は貧乏なので、小学生の双子の妹以外、家族全員が仕事、またはバイトをしています。
ミニスカばあちゃんも例外ではありません。
ばあちゃんのバイトは、朝は西町のパン屋さんです。
もちろん職場でもミニスカ姿。
これが意外と評判を呼んで、常連さんもついています。
しかし、会話がありえません。

その1 パチンコじいさん

「ハイサイ(こんにちは)」
と言いながら、70代のおじいちゃんが入ってきます。
「ナビーさんよ、あいかわらずスタイルー(かっこいい)だね」
ナビーというのは、おばあちゃんのニックネームです。ちなみに本名は、なみ子。
「ヨセヤマさんったら、アンダグチ(お世辞)いつもありがとう」
「ほんとよ。パンを買いにきたのか、お尻を見にきたのかいつもわからなくなるよ。ところで、今日のパンツは何色かな?」
「知りたいなら、パン二個買わなきゃだめよ。だってパンツーだもの」
「ほほほ。ウムサン(おもしろい)。それじゃ、ほらクリームパンもう一個」
「まいど。きょうは明るいスカイブルーよ」
「スイカかぶるー? スイカ、かぶってどうするね?」
「そうじゃなくて、青空みたいな色ってことよ」
「おお、想像しただけで気持ちが明るくなる。そのスイカカブルーは何番ね?」
「スカイブルーは、ラッキーナンバー8」
「ああ、8番台。末広がりで何となくいい感じ。おかげで今日もパチンコ勝てそうだよ」
「勝ったらお約束の2割バック。よ、ろ、し、く!」

その2 近所のくそガキとの会話

「ばあちゃん、パン5個買うから、おっぱいモミモミさせて」
と、近所の中学生の悪ガキ。
「バカだね。あんたなんか、百年早いよ」
「百年たったら、オレ、おじいちゃんになってとっくに死んじゃってるよ」
「死んだとき、またおいで」
「ばあちゃんは骨になっているじゃないか」
「おっぱいだけ取っておくさ」
「それはホラーだよ」
「ホラホラー、パン買ったらさっさと帰って、帰って」
「そのホラーじゃないって」
「土木工事で、ツルハシ振ってる人?」
「それは穴ホラー」
「あんたの仲間の頭の悪い連中?」
「それはアホラー」
……こんな具合に、ばあちゃんと悪ガキの漫才はいつまでも続くのです。

その3 貧乏小説家

「すみません、犬の餌にしたいので、パンの耳ください」
そういって店に入ってきたのは、夏だろうが冬だろうがいつも同じジャンパー姿の貧乏小説家です。
「また、あんたか。犬の餌って、あんたのとこのアパートでは犬飼えないんじゃないのか?」
パン屋の主人のアガリハマさんは、舌打ちしながらウンザリしたように言います。
「ベランダでこっそり飼ってます」
貧乏小説家は言い張ります。
「あのボロアパートにベランダなんかあるわけがないだろう!」
と断言するアガリハマさん。
「実は、階段の下に段ボールで小屋を作りました」
むきになる貧乏小説家。
「それは、家賃を払わず閉め出されたときの、お前さんの家だろうが」
アガリハマさんは一歩も引きません。
「ずいぶん詳しいですね」
「当たり前だ、オレが家主だからな」
「……」
思わず絶句する貧乏小説家。
「まあ、いいじゃない」
ばあちゃんが、二人を取りなします。
「あんたも、パンの耳、犬にあげるなんてウソつかないで、自分が食べるって正直に言えばいいのに」
「すみません、まだプライドがほんのちょっと残ってて、さすがにそれは言えませんでした」
「じゃ、ほんとに犬になれば? もう一度、犬として店に入ってくるシーンから、やり直し!」
「そこまでできません。もういいです。帰ります」
「はい、パンの耳」
「ワン、ワン」
「やってるし」
  

2010年11月30日

4 永遠の恋人

おばあちゃんはいつも元気いっぱいです。
バイトをかけもちでこなしながら、時間が少しでもあれば、昼であろうと夜であろうと繁華街へ繰り出します。
もちろんミニスカ姿をみんなに見せて、自分をアピールし、声をかけてもらうためです。
さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、という感じ。
といっても、ただのナンパが目的ではありません。
ばあちゃんと結ばれる運命にある、『永遠の彼』に出会うためなのです。
こんな派手な恰好をしていれば、多少は自分を見つけやすくなるのではないかと。

「ほんとに、そんな男の人がいるのかしらね?」
ときどき、からかい半分で、おばあちゃんにたずねます。
「いるいる。誰でも必ず一人はいるものなのよ。
赤い糸かどうかわからないけど、一対一でしっかり結ばれている。
その愛する相手を見つけるのが、人間の本当の生きる目的なのよ」
おばあちゃんは、この話をすると、いつも目がキラキラ輝きだします。

「昔の偉い哲学者も言っているけど、男と女はもともとは一つの体だったんだって。
頭が二つ、手と足が四本づつのね」
「うへっ。気持ちわるっ」
「そう思うでしょ? でも『人』という漢字は二人の人間が支え合っている図だというし、この文字を分けたら『1』と『1』になるわ」
「まあ、そうだね」
「とにかく、くっついていた人間を神様が男と女の二つに分けたの。だから、元の自分の体に戻ろうとして、この世にたった一人の相手である『永遠の彼』、『永遠の彼女』をお互いに探しているのよ」

「なんで人間は二つに分けられたの?」
「あまりにも完璧すぎたからさ。神様が人間の能力を嫉妬したのか、自分の地位が脅かされるんじゃないかと不安になったのかどうかしたのね」
「すると、相手が見つかったら、合体して一つの完璧な人間になるわけね」
「その説によればね」
「でも、手と足が四本ずつってタコみたいでイヤだな。なんだか歩きにくそうだし。
それに、そんな人、今まで見たことがないよ。おばあちゃんはどう思っているの?」
「私は、男と女はプラスとマイナスみたいなものだと思っている。
二人が出会ったら、化学反応みたいなものを起こして、一人が消滅しちゃう」
「消滅って、消えちゃうってこと?」
「そう、消えちゃうの」
「ばあちゃん、とってもシュールだねえ……」

「でも、もう片方の自分にいつ会えるかわからないんだよね」
と、私。
「そう。子供時代のときかもしれないし、あるいは私みたいに年をとってからかもしれない。
だから、しっかり意識して、いつもアンテナ張っていなければならないのよ」
「疲れるなあ」
「そんなことないわ。いつ現れるか、楽しみでしょうがない。
今日は会えるかな? それとも明日かなって。毎日がドキドキよ」
「そんなふうに思えるなら、いいなあ。ばあちゃん、幸せだねえ」
「でしょ? だから、あなたも私みたいに、ミニスカートをはきなさいっていつも言ってるじゃない。
で、心の中でこう叫ぶの。
私はここにいる! ここにいるわ!
愛しいあなた、どうか早く私を見つけてって」
「なんか、すごい世界だね」
「そう?」
「ロミオとジュリエットが、ホラー映画になったみたいな感じ。
バイトのパン屋のおじさんがヴァンパイアになって飛んできそう」
「それはホラー映画よりこわいわ……」
  

2010年12月01日

コメントください

波之上の妖怪・ミニスカばあちゃん、下手ですがなんとか書き進めています。
要するにいいたいことが一つだけあって、それを言うために書いているようなものです。

コメントがほとんどないので、つまらないのかなあ、ひとりよがりかなあ、とちょっと落ち込んだりもします。
ご感想、ご意見いただけたら、嬉しいです。
  

Posted by namon at 08:01
Comments(6)ゆんたく
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プロフィール
namon
namon
沖縄で音楽活動中のユニットです。
未熟ですが、小説、音楽、絵画、写真、映像と組み合わせた新しい分野に挑戦していきたいと思っています。
ミニスカばあちゃんも、そのうち、イラスト、音楽入りに変えたいと思います。
写真の私は、イラスト&音楽が担当です。
沖縄をテーマにしたライブもときどき行っていますので、お問い合わせください。